何度でも思い出すシーンがある
ある意味トラウマに近いかも知れない
あの状況は、当時中学生だった私にとって、間違いなくホラーだったから

あの噎せ返るほどに濃く、生々しい生き物のにおいは忘れない
体液まみれの彼女は疲弊し息も絶え絶えで眠りについて
あまりの悲しみから一時的に心を手放したひと
その驚くほど小さな背中とうわ言のように繰り返す「ごめんね」
そういえばあの時、あのひとは何をしていたのだっけ？
思い出せない

「今この場でまともに動けるのは私だけだ」と気づいていっそう冷静になったのは覚えている
それからどうやって眠ったのかは覚えていない
気づいたら朝が来ていて、私は小さな箱の中の、それらに、魔除けの白いセージの葉を1枚ずつ持たせた
せめて道中無事で、と、これ以上ないほどキリキリと痛く苦しい胸の中で祈った



あの時の苦しみが私を戒める
罪の意識があるのかもしれない
もうここまで来たら何だって構わない
同じことをもう二度と繰り返さないために。